2007年出版の本なので、若い人はもう読んでないだろうか。
イノベーションを引き起こしたリーダーには、単なるノウハウを超えた「作法」を持つ点で特徴があるとする。
ノウハウと作法の違いは何か?
一つの大きな点は他者からの無条件の承認である。
意外かもしれないが、ノウハウを持つ人は承認を受けやすい。
作法を持つ人は、むしろ、最初は反発され笑われ潰されそうになる。
著者は作法を持つ人を、ドン・キホーテやマキャヴェリといったメタファーで語る。
彼らは、普通の人が風車に過ぎないと思うものを敵としている。普通の人々はその滑稽さを笑うが、風車を壊した後の世界が見えていないだけだ。
さて、次の問題は、最初は間抜けと思われるドン・キホーテが、どのように組織を巻き込み、商品という形に落としていくかだ。
成功したイノベーションリーダーは、自分にしか見えない暗黙知を、他者と共有して世界を変える「作法」を持っていたのだ。
この作法が何かは本書で確認いただきたい。
ところで、この本の元となる記事は、リクルート社のworksに連載されていた。想定される読者は人事部員。その意味では、今でも人事部スタッフに広く読まれていいだろうと思う。特にリベラルアーツを欠いたピープルアナリティクスがいかに悲惨かを知る機会ともなるに違いない。