https://kotobank.jp/word/鶏鳴狗盗-489296
鶏鳴狗盗 (読み)けいめいくとう
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秦の昭王に捕えられた斉の孟嘗君が、狐のかわごろもを狗(いぬ)の真似をする食客に盗み出させて王の寵姫に贈り、のがれて夜半に函谷関に来たが、鶏鳴までは開門しない掟があったので、ニワトリの鳴き真似の上手な食客に鳴き声を出させて脱出することができたという「史記‐孟嘗君伝」の故事から) ニワトリの鳴きまねをして人をだましたり、犬のようにして物を盗んだりする卑しい者。ニワトリの鳴きまねや犬のまねのような事しかできないくだらない者。また、どんなくだらない技能でも、役に立つことのあるたとえ。
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役に立たないものが役に立つ、という論理的にはおかしい話を説明する際には、この言葉が役立ちますね。
犬に扮する泥棒名人とか、鶏の鳴き声名人とかは、普段なら役に立たない存在。しかし、危機の際にはこうした名人が役に立つ。
実際にはそう何人も名人を抱えられるわけはないですが、他に解釈の仕方はないでしょうか?
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<問い>
この話を文脈を変えて読み込んだ場合に、
どんな教訓が得られそうか?
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つまらないことの名人を、読み替えて、つまらないアイデア、と置き換えましょう。
なんの役に立つかわからないアイデアがいくつも浮かんだとします。
しかし、いまつまらないアイデアなのは、そのアイデアを活かす前提がないだけかもしれません。
つまり、いくつかの前提と組み合わせると、現在Xであるものが、実はxではない、という結論に切り替わることがありえる。鶏の鳴き真似は普段役立ちませんが、鳴き声があれば門が開き窮地から脱出できるという条件であれば命に直結するように。
だから、つまらないからすぐ切り捨てるのではなく、役立たせる前提は何かと考える。仮に答えが出ない場合、その間は、あえて結論を出さずに宙吊りにしておいて、状況に応じて、Xではない状態にするための前提が揃ってないかを検証する。
ポイントは、3つでしょうか。
1)宙吊りに耐える(役に立たないが役に立つという非論理を受け入れる)
2)状況認識をアップデートする
3)これまでxであると認識していたバイアスにとらわれない。