白楽天の採用活動

『白氏文集』巻四十六、族類を以て賢を求むるを謂ふ、より

「人君たる者其の賢を求むるを思はざるは無く、人臣たる者其の用を效すを思はざるは無しと、然り而して君は賢を求めんとして得ず、臣は用を效さんとして由無しは、豈に貴賤相懸たり、朝野相隔たり、堂は千里よりも遠く、門は九重よりも深きを以てならずや」

(訳)君主は賢者を登用しようと思っており、臣下は役に立ちたいと思っている、そして、君主は賢者を求めても得られず、臣下は役に立ちたくとも方法がない、と仰いましたが、それは貴賤や朝野の隔たりがあり、朝廷や皇居が臣下たちから遠く離れた存在になっているからではないでしょうか。

「臣以為らく、賢を求むるに術有り、賢を辨ずるに方有り、方術は、各其の族類を審らかにし、之をして推薦せしむるのみ。近く諸(これ)を喩へに取れば、其れ猶ほ線と矢とのごときなり。線は針に因りて入り、矢は弦を待ちて發す、線矢有りと雖も、苟くも針弦無くんば、自ら致すを求むるも、得べからざるなり。」

訳)私が考えるに、賢者を求めるにも弁別するにも手段はあります。それは、族類を見極めたうえで、その中から人材を推挙してもらうだけです。

卑近な喩えで言うと、糸や矢のようなことです。すなわち、糸は針によって布に差し入れることができ、矢は弦のおかげで発射することができます。糸や矢があっても、仮に針や弦が無ければ、単独では力を発揮しようとしても発揮できません。

白居易が、人材採用の方法を提案する準備をしていたとは驚き。

とは言え、採用が難しい原因が、隔たり。対策が推挙させる。

隔たりがある中で、賢い人を見抜くためにどうするか。一つは、厳しいノルマを与えてできるから見てみる。もう一つは心理的安全性を担保して、自由に主張をさせてみて賢い人を見抜く。後者が社長のあり方であって欲しいものです。

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